古代の薬局方にあるエッセンス
古代の薬局方には芳香植物の使用に関する情報が豊富にある。著者たちが、植物全体よりも揮発性成分に重きをおいていたかは不明である。しかし、中世およびルネサンス期の治療薬の一成分としてローズエッセンスが掲載されている。
修道院長であったヒルデガルドは瞼の腫れにラベンダー水を推奨し、シャルルマーニュ(カール大帝)の教会参事会の聖職者にこのシソ科のラベンダーを栽培するように呼びかけた。
マッティオリは著書「Dioscorides」の中で、エッセンスを生成するこれらの植物の効用に関して説明している。
M.シャプレは、ローズから作られた医薬品の処方箋はそれだけで何巻もの本になると言う。一方で私達は、芳香治療薬の処方の全てを収めるには図書館を必要とするほどだ。
マッティオリは、ワームウッドとアニスの香りには歯痛と耳痛を和らげ、熱を下げる働きがあるという。
ブロンデル医師は、著書「Les produits odorants du rosier」でアテネがバラの香りはワインを飲んで起こる頭の重い感覚を癒すと言った、としている。
17世紀の薬剤師ポメも、バラの香りは心臓と胃を喜ばせ、強化するのに効果的であるとした。
アンブロワーズ・パレは、カメは蛇に嚙まれたらセイボリーを食べ、セージはローズマリーのように、生命力を回復させるとした。
レムリーは著書「Dictionnaire des drogues simples」(1798年)で芳香植物の伝統的な効用をまとめている。一例を挙げると・・・
ベルガモット 温める作用・頭脳強壮作用・健胃作用 クラリセージ ヒステリーに対する作用・通経作用・出産への作用 ゼラニウム 洗浄作用・収斂作用・癒傷作用・血栓溶解作用 ラベンダー 神経への作用・倦怠感への作用・抗悪化作用・通経作用 レモン 健胃作用・消化作用・毒に対する作用 ミント 駆風作用・思考と記憶への刺激作用・駆虫作用 ローズ 収斂作用・洗浄作用・抗嘔吐作用・止血作用 ベンゾイン 皮膚軟化用・溶解作用 これらから、現代的な精油の適用も基準化されていたことがわかる。現在では、その中から選び取られ、更に秩序だった方法論により研究がされている。
『アロマテラピー』ルネ・モーリス・ガットフォセ(フレグランスジャーナル社)より(一部内容を書き換えています)
ガットフォセが様々な文献を探して研究していることが伺えます。当たり前ですが、現代より様々な症状に芳香植物や精油を使用しているのですよね。
最初に効果を感じた時は、きっと嬉しかったでしょうね~
さて 次回は ”異国の薬局方にあるエッセンス” です