血管が傷害を受けると、からだはその傷を迅速に修復するために、一連の反応を作動させる。血管はただちに収縮し、血流は遅くなって、血液凝固が開始される。形成された血栓は、まるで配管まわりをコーキング剤で補修するときのように、血管が治るまで組織を密閉する。
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血栓の形成は、血管壁の中の傷ついたコラーゲン線維がシグナルを発し、血中の血小板を傷口に付着させるところから始まる。血小板の集団はやがて一時的に包帯のようなものをつくり、血流の中にSOSの化学信号を放出する。するとトロンビンと呼ばれる酵素が、溶解性のタンパク質であるフィブリノゲンを、長い粘着性のある繊維状タンパク質であるフィブリンに変換させる。長いフィブリン繊維は、互いに編み込まれていて網を形成し、血液細胞や血小板を捉えて傷口を塞ぐ。ここで血小板は他の化学物質を放出して組織の修復を助ける。傷を負った組織が修復されると、血栓は治癒過程のひとつとして溶解する。
血栓は、からだを治癒するために役立っているものの、血液凝固系が妨害を受けて血栓の形成をコントロールできなくなった場合は重篤な被害を招くこともあり得る。身体の中に血栓が形成されて血液の流れが塞がれてしまう場合がある。一般的には、動脈硬化症によって血管にでこぼこの部位がつくられると、そこに大きな血栓が生成されることがある。その血栓が心臓へ向かう血管を塞ぐと心臓発作が起こることがある。血栓がちぎれて、肺の血管を塞げば、肺塞栓症と呼ばれる、命にかかわる疾患が引き起こされる。脳の血管に血栓が形成されると、脳卒中が引き起こされる。このような大きな血栓の形成を防ぐために、抗凝固剤とよばれる薬剤がしばしば処方される。
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*血液の中に凝固因子を持たない人達がいる、血友病という遺伝性の疾患である。小さな傷であっても、過度の出血が起こり得る。
*女性ホルモンのエストロゲンは経口避妊薬に含まれていることが多いが、血栓形成のリスクが高まる可能性がある。
*遺伝子異常のために、血栓形成が増進する人達がいる。静脈炎・心臓疾患・肺塞栓症・脳卒中のリスクが高い。
『からだの教養365』文響社より(一部内容を書き換えています)
画像はアニメ『はたらく細胞』からですが
血小板ちゃん達がフィブリンを繋ぎ合わせている様子を描いています
健康な人は怪我をしても、いつの間にか血が止まって”かさぶた”ができて
剥がすのが気持ちいいんだよね~なんて言いますねwww
その一連のメカニズムが自動的に発動されるのですよ
毎回言ってますが
人間のカラダって凄い!
大切に使ってあげましょう
ちなみに精油では『レモン精油』に止血作用があると言われています