ウィルスは私達の身体をのっとる吸血鬼である。ウィルスは植物でもなければ動物でも細菌でもなく、自力では生きていけない感染性の病原体なのだ。そのため他の細胞をジャックし、その細胞を利用して増殖したり代謝活動をおこなったりする。
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ウィルスは1892年ロシアの科学者ドミトリー・I・イワノフスキー(1864~1920)によって固定された。ウィルスという名称は、ラテン語で『毒』や『ねばねばした液体』を意味することばに由来する。現在では、科学者たちによって5,000種類以上の異なるタイプのウィルスが同定されている。
ウィルスの中にはインフルエンザを起こすウィルスのように、急速に増殖して宿主細胞を殺すものがある。エイズウィルスのように、スローウィルスと呼ばれるものもある。これらは、細胞の中に留まったまま長い潜伏期間を経てからゆっくりと増殖する。
基本的にウィルスはDNAかRNAいずれかの核酸と、それを取り囲むタンパク質の殻(カプシド)によって構成されている。ウィルスのほとんどは、棒状または球状(20面体)の形態をとる。ウィルスが宿主細胞にしっかりと取り付くのはエネルギーをつくるための酵素やタンパク質の合成と複製に必要なリボソームを持っていないからである。ウィルスは自己の遺伝物質を注射針のように宿主細胞の中に注入する。するとウィルスの核酸は宿主細胞の機構を乗っ取り、新たなウィルス粒子を産生する。この過程において宿主細胞は破壊されることとなり、中から新しいウィルスが放出されて、他の細胞に感染していくのである。
ウィルスは細胞の中に入り込んでいるので、細菌に比べると殺滅するのが難しい。ウィルスを攻撃することができる抗ウィルス薬もいくつかあるが、ワクチンが効果的である。ワクチン接種によって、免疫系が刺激され、特定のウィルスを標的とする白血球がつくられるからだ。
『からだの教養365』文響社より(一部内容を書き換えています)
文章にして読むと恐ろしいことが体内で起こっているのです・・・
でも、免疫を保つためには過度に不安にならない事も大切です
感染対策をしっかりおこなって
元気に過ごしましょう