からだの豆知識|パラケルスス

16世紀の医師で化学者のパラケルスス(1493~1541)は、硫酸銅や鉄、水銀、硫黄、その他の化合物が疾患の治療に役立つことを示して医学に革命をもたらした。たくさんの研究者たち、あるいは古来の医学の権威者たちを軽蔑していたパラケルススは、同時代の多くの誤った医療の考え方に対する反証を示すことでも貢献した。

パラケルスス(本名:テオフラストス・フォン・ホーエンハイム)は、少年の頃、ドイツの医師で化学者であった父の教育を受けて育った。またスイスの鉱業高校にも通い、土壌中の金属やミネラルについて学んだ。十代のころテオフラストスはヨーロッパ各地でいくつかの大学に通った。彼がより高く評価していたのは、ジプシーと呼ばれるロマの老婆や魔術師からの助言だった。イタリアのフェラーラ大学はヨーロッパで著名なギリシャ人医師ガレノス(129~216)の著作に対する批判、そして恒星や惑星が人間の健康を支配していると信じられていた考え方に対する疑問を受け入れる数少ない場所の一つであった。そこにいた頃パラケルススと名乗るようになった。

フェラーラ大学を卒業した後、パラケルススはヨーロッパ各地で様々な職に従事した。オランダやイタリアで軍医を務めたり、エジプトやコンスタンティノープルで錬金術を学んだりした。最終的にはスイスに戻り、バーゼル大学で教鞭をとった。ある日の講義で、パラケルススは古代の医師たちの書物を燃やし大学が大騒ぎになったという。1530年パラケルススは梅毒に関する臨床記述を著した。その中で梅毒は水銀化合物によって治療可能であることを示した。また、抗夫の病気(珪肺)に関する初期の概念も述べた。珪肺は有毒な粉塵に暴露されることにより引き起こされる肺疾患であるが、当時は”山の小悪魔によって引き起こされる”と信じられていた。

パラケルススはホメオパシー(疾病に似た生理作用を引き起こす物質を、限りなく少量を治療薬として用いる民間療法)の基本概念を示した最初の人物であり、「人間に病気をもたらすものは、また人間を治すものでもある」と唱えた。

1536年戦闘における火薬によって引き起こされる創傷の治療に関する初期の論文集の一つを発表した。当時爆薬の使用が広まり火薬の創傷は大きな問題になっていた。

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*パラケルススが甲状腺腫はヨウ素の欠乏が関係するとした

『からだの教養365』文響社より(一部内容を書き換えています)

パラケルススは錬金術に傾倒している・・・くらいの知識しかありませんでした

発言や行動から非凡であったのだと思います

その視点があるからこそ見える事があるのですね

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